■ジミー・スコット，再来日に期待する．

●ブロードキャスター/ピーター・バラカン

　今年4月に来日したジミー・スコットの姿を見て，その元気さと若々しさに驚いた．かなり長いツアーで日本を2〜3回縦断した75才の彼は，芸人が徹底したプロでなければ通用しない時代を経て来ただけあって，取材陣に対して全く疲れた様子を見せなかった．もちろん彼にとって取材してもらうことが嬉しいということもあるのだろう．

　歌手やミュージシャン仲間からは，若いころから絶賛されていたにもかかわらず，金儲けのことしか興味のないレコード会社に所属していたため，彼に相応しいレパートリーを　少なくともレコーディングの時に歌わせてもらえなかった．その方針に反発したジミーは意地悪もされ，レコーディング活動ができなくなった．

　ジミーが評価を受けるようになったのは，久々のアルバムを発表した1992年以降のことだ．それまでの約20年間，レコードを出していなかった．とはいえ，地道に小さなクラブなどで歌い続けていた．

　彼の唯一無二の歌唱法は衰えることなく，逆に年齢相応の味わいを発揮するようになった．ライブで彼の歌を聴いた多くの日本の聴衆が涙をこぼしたという．テンポの遅いバラードを，更にビードぎりぎり引っ張って歌う彼の表現は，肯定的な歌詞を好んで歌うのに，ストレートに伝わる傷みに満ちているからだろう．

■奇跡のジャズシンガー・・・ジミー・スコット

●JAZZ SPOT 屋根裏　店主：原　久雄

貧しかった少年時代．歌手となってからも報われなかった永い年月．

スティービー・ワンダーやマービン・ゲイ等に多くの影響を与え，レイ・チャールズやクインシー・ジョーンズが敬服するほどの実力者なのにもかかわらず，二十数年間も表舞台には上がれなかった時代もありました．

1991年，友人のソングライター，ドグ・ポマーズ【ヒット曲/ラストダンスを私に】の葬儀に追悼で歌った曲に，参列していた大手レコード会社社長が感銘し，新作ＣＤ『オール・ザ・ウェイ』が発表されました．同時に話題の映画『ツイン・ピークス』でデビッド・リンチがジミー・スコットの歌を使い，歌手のマドンナや俳優のロバート・デニーロ等著名人が一斉に賛辞を送り，一躍時の人となり表舞台にあらわれました．このときジミー・スコット66才．

現在75才のジミー・スコットは今までの空白を取り戻すかのごとく精力的に音楽活動を行っています．今年4月の日本ツアーは全国17カ所全てで満杯となり，そのステージはジャズファンのみならず総ての音楽ファンに大いなる衝撃を与えました．

『あきらめなければ，いつか夢は叶う』

ジミー・スコットの言葉は．．．歌は．．．
私たちに希望と力を与えてくれます．

2000. 11/19 (日)
足利市民プラザ・文化ホール
ＰＭ６：００オープン　ＰＭ７：００スタート