前橋協立病院様サイトでトップページに掲載された写真とそれにまつわるエッセーです.
掲載期間は2005年8月18日から2010年5月31日までです.
『ロウバイ』2010.01.23〜

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 天気の話題はちょっとした挨拶.『暖かいね,今年は』『今朝は冷えたね,水道が凍った』『まっさか吹くね』『おだやかでいい日だね』

 待合室のような場所で初対面の人と居合わせるようなときには,まことに便利な話題である.いっぺんに話し相手ができる.

 『今年の冬はいくじがないね〜』と言った翌日,寒波が日本列島をおおった.

『紅葉谷のモミジ』2009.12.03〜2010.01.22

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 もみじだに,名前だけでも行ってみたくなる場所が足利市にあった.織姫公園の山の北西の斜面.秋の午後の日差しを斜めに浴びて,モミジは山を真っ赤に染めていた.

足利市(栃木県),織姫公園,紅葉谷にて 2009.11.18撮影

『カラマツのまつぼっくり』2009.11.10〜12.02

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 おだやかな晴れ間が続く今年の秋.近所のトチノキは一枝だけ春と勘違いしたのか芽吹いてしまった.庭のリンゴの木も一枝,花を咲かせていた.

 自転車で街中をぶらりとしていると黄色や赤の隙間に常緑樹の緑.秋は名残を惜しむように華やかさを競っていた.

奥日光,戦場ヶ原にて 2007.10.23撮影

『雷鳥沢(立山)の紅葉』2009.10.07〜200911.09

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 行きたいと思っていてもなかなか行けないでいた立山に,思い切って行ってきた.下界ではまだ残暑の9月の後半,ここでは紅葉の真っ盛りだった.室堂のバス停では夏の装いの観光客が両手で襟を絞めて肩をすぼめて歩いていた.

 10分も歩けばそこにはザックを背に担ぐハイカーの世界.雷鳥沢には色とりどりのテントが張られ,自然と人との色の共演,華やかな世界があった.

 立山,雷鳥沢にて(後ろは立山連峰)2009.09.20撮影

『ひなそう』2009.05.26〜10.06

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 足の踏み場も無い群生.地元の方が『ひなそう』と教えてくれた.花の直径は2cmくらいだろうか,うっすら青みを帯びた白.調べたら北米が原産で昭和の初期に日本に園芸品種として入ってきたらしい.今ではすっかり野生化しているという.日光,湯元にて2009.05.25撮影

『たんぽぽ』2009.05.16〜5.25

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 口先をとがらせて息を吹きかけると落下傘のようにふわぁと宙を飛ぶ綿毛.小さい頃誰もが経験している.私は,いまだに道ばたのタンポポを見つけると,この衝動を抑えるのに苦労する.

 風まかせの生存をかけた賭けがこの瞬間に始まる.人生の一時一時,人は意志的に生きているのだろうけど,長いヒトの歴史の中では,私たちの出生もまた,一粒の綿毛なのだろうか.たどり着いた地で生まれたからには,一生懸命に生きるのみである.ただ,人は社会性の生き物であり,環境をより良く変える術を知っている.

『ボケ』2009.03.28〜5.15

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 潔いほどざっくりと剪定され,ジグザグの枝だけが寒風にさらされていた.大きな莟が曇り空の下,何をはばかる事もなく堂々とふくらみいっせいに花開く.大気が温み心も緩む季節に咲く桜.まだ心の莟が寒さで堅いうちに咲くボケ.それがためか桜ほど愛でられる事もない.

 しかしその存在感はたくましい.私はボケの弾けんばかりの莟が好きだ.『夢がふくらむよう』友人の言葉を思い出した.

『ロウバイ』2009.01.25〜3.27

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 事情があって妻の大切にしていたロウバイの木を移植した.時期的に難しいと言われてるときの移植,根に負担をかけないようにほとんどの枝葉をそぎ落とし,株だけの移植.大きな株だった.一抱えするほどの太さだった.

 1年目は小さな枝が何本か出てきて葉をつけるのだけど秋まで待たずに枯れてしまっていた.2年目の今年,1本だけでた針金のような細い幹に小さな莟をびっしりとつけていた.

『秋の霧降高原』2008.11.06〜2009.01.24

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 秋の夕暮れはあっという間だ.陽がかげり,赤く染まった西の空も目をはなす間に赤を濃くしていく.この景色の中にいるだけで感動的な気持ちになれる.

 厳しい冬に備えて木々は葉を落とすと聞いた.その途中が野山を赤や黄色に染め上げる紅葉だと言うのだ.木々にとっては不可欠な作業.紅葉のよしあしを論ずるのは人間側の身勝手だと感じた.

『睡蓮』2008.08.06〜11.5

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 水のある風景は心がなごむ.わずか1帖ほどの池.そこに睡蓮の花が3本.いったい何人の人がここで足を止め,気持ちを癒されただろうか.睡蓮の花はそんな事を気にかけているのかいないのか.ただただ,そこで咲くだけ.

 人はどうしても他人の目を気にしたり,どう思われているのかを気にかけたり... たまには孤高の生き方をしてみたいと思う.

『カモのヒナ』2008.07.10〜08.05

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 ふわふわの羽毛に包まれたヒナがも.親ガモが水から上がるとまるで駒送りのように次から次へと上がっていく.そこには10cmほどの段差があるのだが足を上手にかけて,ひょい.ぴょい.ひょひょい.

 何度試みても上がれないヒナもいる.親ガモは2,3m先に行くのだが,振り向いては戻る.私はしばらく見ていたのだが,数が足らないのをどう認識しているかはわからなかった.

『さくら』2008.05.01〜07.09

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 4月の初旬,東武伊勢崎線の多々良駅脇にある馬のいるお宅に伺った.白く輝くような桜の花が満開.ちょっぴりと冷たいそよ風に吹かれてかすかに枝をゆらしていた.

 桜にレンズを向けていると,馬は私に興味あるのか人なつこいのか寄っては遠ざかりの繰り返し.お宅の奥さんが「野次馬」と一言.なるほどと思った.

『シクラメン』2008.02.25〜04.30

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 玄関を開けたら真正面に真っ赤な炎のように鉢植えのシクラメン.背くらべするように幾重にも花を咲かせていた.どれが主人公でもない,一つ一つが生き生きとしていて集団の美しさを見せていた.

 昨日は関東地方にも春一番が吹き荒れた.もうすぐ春だ.

『カタクリ』2008.01.01〜02.24

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 3月の半ばになると山の斜面を薄ピンク色に染め上げ,春の到来を告げてくれる.花びらは凛として誇らしげに雄しべ雌しべをあらわにして咲く.地面に頭をすりつけ覗き込むと,光が通り抜けた花びらは彩度を増し美しい.

 この花は佐野藤岡インター(東北道)の脇にあるみかも山(佐野市)での撮影.みかも山は標高わずか229mの低山で,ナラやクヌギの自然林が生い茂り,美しい山容をしている.北斜面にカタクリの群生があり,時期になると多くの人が訪れる.

『パンジー』2007.12.21〜12.31

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 10月半ばまでコスモスを隙間なしに咲かせていた公園.久しぶりに訪れたらパンジーに植え替えられていた.今年も残すところ数日となった冷たい風の中で花びらをかすかに振るわせ咲いていた.

 年末も年始も,人間にとっては節目であっても,植物にとっては連続する日々の繰り返し.ただただ,精一杯今を生きている.

 よい年をお迎え下さい.

『すすき』2007.11.16〜12.20

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 今年は11月になっても暖かくすごしやすい日が多い.渡良瀬川に鮭が戻ってきているというのでカメラを持って出かけた.足利市を西から東に横切るこの川は森高千里が歌った『渡良瀬橋』で一躍有名になった.

 夕暮れ時,西陽を浴びて黄金色に輝くススキが印象的だった.

『奥日光・戦場ヶ原』2007.11.01〜11.15

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 高所の秋は短い.夏と冬に挟まれた ほんのわずかな数週間である.秋は山頂から駆け下りるように山を錦に飾り,里につく頃は頂上付近は冬の様相.この日も10月中旬というのに白根山はすっかり雪をかぶっていた.雲の隙間から射す光が一瞬だけ白樺の林にあたった.

『あざみ』2007.10.01〜10.31

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 陽が落ちるのもすっかり早くなった.時折,今年の猛暑を思い出させるような陽気の日もあるが,やはり季節は移り変わっている.

 8月の末,再び赤城に登った.あいにくの雨模様.ワレモコウを撮りたくて行ったのだが,写りのよさそうな株を探しているうちに,木いちごを発見.一粒口にしたら,酸味と甘みの絶妙な組み合わせ.山猿のように食べまくってしまった.

『ホバリング』2007.09.01〜09.30

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 今年は猛烈な暑さだった.そんな8月の中旬,涼を求めて赤城の地蔵に登ってきた.

 頂上で下から吹き上げる冷たい風を受けながら景色を眺め,おにぎりを食べた.のんびりと1,2時間すごしてきた.下界は40度近い猛暑,ここは半袖シャツでは鳥肌が立つほどの涼しさ.

 薄紫の花にとまるミツバチを撮っていたら,偶然にももう一匹.コンパクトカメラでは奇跡のようなシャッターのタイミングだった.

『イリオモテに咲く花』2007.07.24〜08.31

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 2003年8月,日本の西のはずれ,西表島に初めて訪れた.目的はエコツアー参加.島を一周する道はない.多くは船での移動.少ない道路でイリオモテヤマネコが車にひかれて死ぬ数が増えていると聞いた.

 原因はヤマネコと言えども猫.人との共生に近い形で人家に近いところで生きていると言う.かつては林業や農業で島の奥部まで住んでいた人が,産業の衰退とともに浜に近い地域に移り住むようになり,イリオモテヤマネコも一緒に移り住んでいるとか.そして交通事故死.野生動物には過酷な時代になった.

『矢車草』2007.07.05〜7.23

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 明け方まで写真の整理をしていてそろそろ寝ようかというときに,庭を掃くほうきの音.早起きの母が起きて庭仕事を始めていた.

 早起きが苦手な私は,これはチャンスとばかりに庭に出て草花を撮影し始めた.あきれる母を尻目に三脚を持ち出し,少しばかり丁寧に撮影してみた.ミカンの木の下にすくっと咲く矢車草.紫の艶やかさがまわりに光彩を放っていた.2007年の初夏の早朝.

『ポピー』2007.06.01〜07.04

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 いっせいに咲く様をみると異国の地に来たような不思議な感覚になる.幾重にも重なり多色を有する花もあるが,シンプルに単色の花が,しかも小振りの花がかわいらしい.柔らかい産毛に包まれた蕾みはさらにかわいらしい.

 焦点を思わず奥の蕾みにもっていってしまった.

『アイリス』2007.05.17〜5/31

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 変わった花が庭に咲いた、と思ってレンズを向けていたら,妻が『アイリスだよ』と教えてくれた.アヤメとどう違うのか私には区別がつかないが,確かに外来種の雰囲気を持っている.

 そんなことがあって近所を歩いてみるとあちこちに咲いている.先日は背丈が70cm程の大きな艶やかな花を咲かせているのを見た.ジャーマンアイリスと呼ばれているのを知ったのはつい先日の日曜日だった.

『チューリップ』2007.04.30〜05.16

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 五月晴れになんて似合う花なんだろう.強い光の中で少しも色飛びする事無くしっかりと自らの色を主張している.すくっと伸びた茎,しっかりと厚い葉.公園の花壇に一斉に咲く様はあでやかだ.

 シャンパングラスで乾杯をしているようだった.

『すずらん』2007.03.16〜04.29

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 私はこの花の名前を知らないでいた.ネットに掲載していたら親切な方がスズランと教えて下さった.小さい頃から聞き慣れたスズランという響き,『すずらん』とひらがなで書く方が似合う.

 ニューヨークの小さなギャラリーの裏庭にひっそりと咲いていた.その可憐さに惹かれて薄暗くなりかけた夕方の光の中で撮った.2005年の5月.ニューヨークはまだ桜が終わったばっかりだった.


2007.02撮影
『県庁から望む』2007.02.23〜03.15

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 利根川のふちに立つノッポビル,それが群馬県庁.32階建て.最上階は全面フロアーで360度の景色が楽しめる.平日は夜の10時まで無料解放されている.眼下には南北に流れる利根川,前橋の町並み,遠くに目をやれば北は浅間山,東に赤城山と,西は信州国境の山々.南には伊勢崎などの平野部.

 一人で来たことを後悔した.真っ赤に染まった空を背景に三角の形をした浅間山,暮れてからがまた美しい.

『のってりと咲く,ロウバイ』2007.02.02〜02.22

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 やっぱり暖冬,ロウバイもすっかり満開になり花びらで足下を明るくしている.『夏は暑くて,冬は寒くなきゃ!』と言う友達もいるが,私はおだやかな気候が身体に合っている.

 庭木のロウバイも植えられて十年.夏には葉を青々と広げヤブのようになる.とても花の時期の可憐さは想像できない.妻も嫁いできてxx年.可憐な時もたしかにあった.

『寒に咲くスイセン』2007.01.01〜02.01

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 暖冬と言われながらも冬.上越国境に雪雲がかかる日は冷え込む.風そのものの冷たさが身にしみる.国境の向こうでたっぷりと雪を降らした風は,乾ききって冷たい.その強風を細い身でしなやかに受けとめ,凛として咲くスイセン.揺れが停まった一瞬.

2007.01撮影

『クリスマスツリー』2006.12.13〜12.31

作品:協立病院,通所リハビリ,通所介護,5,4階の皆様

 写真の作品は通所リハビリ室,通所介護の利用者,5,4階の患者の皆様と職員が協同で作成したクリスマスツリーです.

 病院玄関に飾られています.

『県庁から見た利根川』2006.11.01〜12.12

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 『利根は坂東一の川』と上毛カルタで歌われる利根川.上越国境から集めてきた水が前橋市の中央を流れる.冬の季節は水量も減り河川敷の広さが目立つ.遠く谷川連峰に雪がつもりだすころ上州名物からっ風が音をたてて毎日のように吹く.透き通った夜空に星や月が青々と輝く.ウインタースポーツ好きにはたまらない季節,スキー場と温泉はすぐそこにある.

『覚満淵』2006.10.04〜10.31

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 最近はめっきり訪れる人が減ったという赤城山.山頂にはカルデラ湖が2つ.その名も大沼と小沼.赤城神社があり土産屋や宿が並び華やかな大沼とひっそりとたたずむ小沼.その間にある隠れた名所が覚満淵,木道.尾瀬と同じ高層湿原.気軽に歩けるミニ尾瀬.三脚をもったハイカーの姿が霧の中から浮かび上がった.

『ニッコウキスゲと燧ケ岳』2006.08.28〜10.03

写真とエッセイ:福井 武《フリー》

 ニッコウキスゲを沢山入れて燧ケ岳を撮影するには大江湿原でしょう。 山の形は悪くなりますがニッコウキスゲとの色の対比を狙って見ました。

 生憎、曇り空で山にも雲が引っかかったのでパッとしませんが、 青空に出会えれば、青、緑、黄の変化が面白くなったでしょう。 でも、何度行っても、なかなか良い条件には出会えないものです。「今度こそは、今度こそは」と「捕らぬ狸の皮算用」で元気なうちの山歩きです。

『椰子』2006.08.09〜08.28

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 一気に夏らしい気候になってきた.直射日光を浴びるとじりじり火傷をするように熱い南の島であっても,吹き抜ける風を受けながら木陰にいると寒いくらいである.

 日本の夏は,特に内陸部にある前橋の夏は世界に自慢できる暑さだと思った.

『花菖蒲』2006.06.30〜08.08

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 つる舞う形の群馬県,その頭に位置する館林市は城下町として栄えた.その名残がいたるところにある.大手町,代官町,城町.

 館林市役所周辺は今ではきれいに整備され,ちょっとした観光スポットになっている.木々におおわれ,東西に長くのびた城沼はかっこうの散歩コースだ.

 その一角にあるのが菖蒲園.6月の半ば,色とりどりの傘がゆっくりと木道を行き来していた.どの花を撮るか悩んだが,いっぱいの雨水を大きな薄い花びらにたくさん抱えてもなお,すくっとしたこの花にした.小雨がとても似合う花だ.

『紫陽花』2006.05.17〜06.29

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 お隣の栃木県栃木市にある大平山神社はその参道が紫陽花の坂道で有名.季節になると週末にぎわう.

 無料駐車場にクルマを停めると,すでに紫陽花に囲まれていることに気づく.幅2m位の緩やかな坂道を背丈ほどの青紫の紫陽花に挟まれてのぼる.訪れる人が多いのが,靴で磨かれてツヤを出している石段で分かる.
5分も歩くと小さな茶店があり,紫陽花団子でお茶をいただける.

 ゆっくりのぼって30分.そこには栃木市の街が一望できる見晴し台があった.

『芽吹く』2006.01〜05

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 東北の春は遅い.前橋ではすっかり勢いを増し,新緑とはとても呼べなくなる5月,秋田の山々は残雪でまだら模様だ.雪解けでぐしゃぐしゃの地面からすくっと伸びる山菜.ゼンマイ?ワラビ?私は植物に詳しくないがその命の芽吹きに膝を泥だらけにしながら目を地面に寄せた.

『赤城山麓,暮れる』2005.10〜12

写真とエッセイ:福島 幸夫《ekip & ef studio

 毎日のように見ている赤城山.その赤城山山麓からの夕焼け.青空を背景に銀色に輝いていたススキの穂が,暮れゆく夕日に影絵をつくる.広大な赤城の裾野.このままの勢いで山頂が残れば富士山を超す高さだったと私の妻はいう.そういえば,彼女は上州女だった.私はきれいなカルデラ湖を持つ赤城が好きだ.