議会報告・2006年第1回定例会,3月20日(月)
すべての小中学校に用務員を継続して配置することを求める請願
請願第1号,陳情第2号の採決を(全文)

・すべての小中学校の用務員配置の継続を
全校長、全教頭でつくっている佐野市管理職員協議会が佐野市教育委員会あてに要望書を提出

◆1番(岡村恵子) それでは、ただいま各委員長の報告でありました請願第1号、そして陳情第2号につきまして不採択という立場でした。私からは、請願第1号につきまして討論をさせていただきます。

 すべての小中学校に用務員を継続して配置することを求める請願につきまして、ただいまの経済文教常任委員長の報告は不採択でした。採択すべきという立場で不採択に対する反対討論を行わせていただきます。

 この請願は、すべての小中学校に用務員を継続して配置してくださいと強く求めています。私は、本日この討論を行うに当たり、時間の許す限り小中学校を回り、校長と話をしてまいりました。年度末の大変忙しい時期であるにもかかわらず、訪問したどこの学校の校長も快く受け入れ、心を開き話をしてくれました。私は、会った校長どなたにおいても全校に配置されていた用務員を引き揚げられてしまうことに対し、大変な憂慮と切実な思いを持っていたことに改めて驚きを感じています。その切実な思いは、生きた児童や生徒を相手にする直接教育の現場に責任を持つ使命感と貴重な次の世代の人を育てる教育を遂行するという気高い精神を持っているからだと思いました。

 請願に対する執行部への質疑の答弁の中で教育委員会は事実を明らかにいたしませんでしたが、全校長、全教頭でつくっている佐野市管理職員協議会が3月7日付で佐野市教育委員会あてに要望書を提出しています。この3月7日とは、今議会予算審査特別委員会の真っただ中でありました。この要望書を初めて見せていただきましたが、2月13日佐野市定例校長会において、平成18年度予算が可決されれば用務員を引き揚げる考えでいるとの報告があり、用務員を引き揚げられた場合、多大な支障を来すと考えるとこの文章の中に明確に述べ、継続した配置を強く求めたものでありました。

 現場からの、それも各学校に責任を持っている校長、教頭からこんなにも明確な要望書が出ていたにもかかわらず、市当局は不問に付すのでしょうか。

 さらに、この文面には、用務員の仕事として、
1、朝の校舎の施錠をあける、
2、校舎の内外の施設などの修繕、
3、小規模校の男性職員の不足、
4、金融機関への用務、
5、花壇、植木の手入れ、
6、ごみや危険物の処理など、

そしてこの用務員の代行がきかない理由として、
1、教員が実施している授業時間以外の時間について、学校の事務処理、諸内外事務処理などに対応している、
2、放課後等は部活動指導、下校指導などがあり、時間的な余裕がない、
3、朝の校舎の施錠の解除を教師が行う場合勤務時間外となり、残務命令で対応することはできないとしています。

 会った校長に「これは、小中学校の校長、教頭全員の意見ですか」と聞くと、どこの校長も「そうです」と答えています。その後日、教員たちでつくる教職員協議会で同様の趣旨の要望書を市教育委員会に提出したということでした。

 訪問した小学校では、下校時に当たり、教員は子供たちの下校の付き添いに当たっていました。校長も本来なら下校の付き添いに当たるとの話でした。子供たちの安全のために細心の注意を払っているという状況です。用務員が1校1人配置されていることで木の枝の剪定、水回りの故障などの緊急の事態にも対応でき、大事に至らずに済んでいること。そのために修繕費の予算が少なく済んでいる。他の整備の面に使えること。そして、登校時道路交通の事情で学校の門をあけているところに用務員がいつも立っていてくれることから子供を安全に登校させることができる。その他緊急性が求められていることにも即対応できている。また、銀行や郵便局、金融機関への用務を果たしてくれることは大変助かっているなどです。また、訪問した中学校では、用務員が常に1人いることは花壇の花が四季折々咲かせることができ、草取りによりきちんとした環境で過ごさせることができる。これは、教育の大切な一環だと考えているとのこと。耐震化がまだ行き届いていない今、緊急性のときに即対応できる体制が必要であること。常にいてくれるから無理なこともお願いできることがあるなど。そして、ある校長の意見は、用務員を引き揚げることは佐野市の教育環境が変わっていくと思う。子供を大切にするということは、人的環境が大きな力を発揮すると考える。用務員の仕事は、本人が1日の仕事や段取りを考える創造的仕事であり、人間らしい仕事。工夫と知恵が求められる仕事である。だから、子供たちが用務員さんありがとうという気持ちが持てる。効率化では言いあらわせないと思う。そして、学校環境はいろいろな人が必要であり、その一人一人がいるから成り立っている。子供が感謝の気持ちを持つことができる。用務員を各学校から引き揚げるという今回の措置は、教育環境のすごい変化であると思う。総合体として必ずふぐあいが出てくると思う。また、ある校長は、用務員の仕事は各学校の環境によりやる仕事も変わってくる。子供の数が少なくても多くてもふぐあいが出てくることは同じであると思う。管理する部分は変わらない。冬になると落ち葉の片づけに追われる。生徒への指導として掃き掃除の指導をさせているが、授業時間になると生徒は引き揚げなければならない。その後いつも用務員さんがやってくれている。いなくなるということは痛手である。営繕係を用務員と教頭、技術の先生などで置いているが、目の見えない部分の仕事がいっぱいある。また、朝の校舎のかぎ、昇降口のかぎのあけなど、朝7時半前に来て行ってくれている。これらの仕事が各学校によってどのような形になっていくのか。佐野市は、こどもの街宣言を行ってきた。宣言を行うのであれば、教育界の声にこたえ、他の市より教育予算が多いとか、心を打つ部分が必要なのではないかと思う。以上、いろいろ言い尽くせませんが、現場の校長たちが大変な声を上げています。

 地方交付税の計算の中に1校につき用務員の人件費として435万2,000円算入されています。これは、国として各学校の教育条件の必要な基準としているから来ているわけです。答弁の中で交付税は義務的なものではないと言っていましたが、交付税が求めている目的どおり使っていくことが義務教育の全国の子供の求めている水準を同じレベルにしていくと考えるものです。今公立小中学校の教員給与の国庫負担率を現行の2分の1から3分の1に引き下げる義務教育国庫負担法改正案が国会で審議をされています。国庫負担制度は、憲法と教育基本法に定められた教育の機会均等、水準維持、無償制の確保という義務教育の根幹を保障しているものです。ある校長は、「義務教育国庫負担の削減は一般財源化されればこういうふうに大変なことになるんですね」と地方によって格差が生じてくることへの危惧を述べていました。私は、執行部はこれらの要望書について質疑して聞いたわけですから、すべて審議の中で明らかにすべきだったと思います。そして、議会がこのすべての小中学校に用務員を継続して配置することを求める請願を採択していくことは、これら現場の声に正面からこたえていくこととなるものではないでしょうか。

 以上、経済文教常任委員会の不採択という報告に対する私の反対討論といたします。

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