◆1番(岡村恵子) ただいまから岡部市長の平成18年度予算案の大綱に対する質疑を行わせていただきます。
今国民の暮らしと日本経済は、深刻な危機にさらされています。小泉内閣が進めてきた構造改革や規制緩和路線は、大企業の利潤追求を最優先にし、弱肉強食を進め、日本社会と国民生活をあらゆる分野で深刻な事態にしています。
不安定雇用と所得の低下、中小企業の倒産、廃業、経営難が進むもと、所得の多い人と低い人の富と貧困の格差の広がりを生み、勝ち組、負け組という言葉が使われることに象徴されるように、今大きな社会問題にもなっています。これは、今の暮らしの不安のみではなくて、将来をも脅かす状況であるとも言えます。
生活保護世帯が100万世帯を突破し、教育扶助、就学扶助を受けている児童生徒の割合が12.8%と、この10年間で2倍以上になっています。貯蓄ゼロの世帯が急増し、その比率が23.8%に達し、年金わずか数万円、貯蓄もないという高齢者もふえています。先日の新聞報道の中に、2005年に県内で変死体で見つかった人は前年より11.4%増加し、過去最多の2,999人に上ったということが県警捜査一課のまとめでわかったという記事がありました。
ひとり暮らしの高齢者の孤独死など、65歳以上が前年より12%ふえ、自殺者も13.3%増加したとのことです。県警幹部は、この現象を高齢化社会や格差の拡大などが影響しているのかもしれないと分析したと掲載しています。
また、耐震強度偽装事件、ライブドア事件などに見られますように、ルールとモラルの破壊が進み、国民の安全と財産がないがしろにされています。
また、平和をめぐる問題でも、政府は世界じゅうが平和の国際秩序を求めている中で、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃戦略につき従い、憲法及び世界とアジアの平和に逆らう危険な道を歩んでいます。憲法9条改正の動きは、その最たるものではないでしょうか。
ここでまず一つ目にお聞きいたします が、市民に大きくかかわるものである平成18年度政府予算案に関して市長にお尋ねいたします。政府予算案は、改革の総仕上げ予算と位置づけていますが、この間の状況は国民に大変な害悪を与え、政府の政策の破綻があらわになってきているとも言えると思います。小泉内閣は、5回の予算編成で13兆円に上る史上最悪の増税、負担増を国民に押しつける一方、新規国債の発行額は170兆円に上っています。
この要因として、巨大開発のむだ遣いと大企業、大資本からの減税を温存拡大してきたことにあります。国民には定率減税の半減や廃止、各種控除の廃止、縮小による増税、医療制度では高齢者や重症患者への情け容赦ない負担増と医療の切り捨て、介護保険制度の給付の引き下げと負担増などの社会保障の改悪、地方には三位一体改革の名による地方財政へのしわ寄せなどを強めています。
ここでお聞きいたしますが、市民の不安定雇用や経営難での収入減の中、大増税と社会保障の給付減、負担増を押しつける政府予算案に対し、市民の立場にしっかり立ち、撤回させる態度が必要だと思いますが、市長の見解を求めます。
次に、予算大綱の中には、「我が国の経済は、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、世界経済が着実に回復する中、地域によってばらつきがあるものの、国内民間需要中心の緩やかな回復が続くと見込まれております」と述べています。なるほど、先日発表された2005年10月から12月期のGDPが4年連続で成長になりました。しかし、多くの国民にはプラス成長の実感がないのが実情です。分析によりますと、個人消費の好調さは家計のやむを得ない支出増があり、厳冬が冬物衣類や暖房器具の購入を促し、灯油の価格高騰が支出増の拍車をかけている状況になっています。家計調査では、住居費、光熱費、保健医療などは3年連続で増加しています。医療や介護などにかかる費用が家計を圧迫し、やむを得ず貯蓄を取り崩して支出に回しているのが実情となっています。市民の命と暮らしを守っていくために、家計を支援する政治が求められていると思いますが、本市の予算編成に当たりこの観点をしっかり持たれたのかどうか、市長に見解をお聞きいたします。
次に、政府が進める官から民へなど、小さな政府づくりに対する問題です。今政府のこの路線が国民の命や安全、財産を守るという点で大きな問題をつくり出しています。相次ぐJRの事故、耐震強度偽装事件など、さらにライブドア事件、牛肉輸入問題なども起きてきております。また、郵政民営化の方向が市内にも影響を投げかけていますが、集配廃止郵便局の中に赤見、飛駒、田沼の三つの郵便局が入っています。配達区域の拡大による配達のおくれやサービス低下が危惧されます。さらに、県が打ち出した新行政改革大綱には、職員削減1,000人と県単事業の廃止や県施設の統合廃止などもあり、県民の家計を直撃する負担増も盛られております。福田知事は、「民間にできることは民間に、権限移譲や県庁内分権、県庁スリム化をトータルで進めながら、本来やるべき業務を特化していく」と述べています。この間小山市で起きた幼児虐待事件で、児童相談所の体制の弱さが露呈したばかりではありませんか。保健、福祉、農務などの関係機関の統合などで発表されたものの中には、市内にある健康福祉センターの統廃合もあります。これら行革の内容は、県民の福祉の増進に寄与するといった地方自治体の精神にも反し、県の果たす役割を投げ捨てたものになっています。ですから、こういう状況の中で市政運営は市民のとりでとして、市民の暮らしや安全をしっかり守る立場でなくてはなりません。今後の市政の方向や市の行政改革のあり方にもかかわってくる問題ですが、市民の安全、暮らしを守るという点で予算案の中にどのような配慮がなされたのか、見解を求めます。
次に、この間税制や社会保障制度の本来あるべき所得再配分という税制の基本の歯どめが外されてきています。消費税の増税は、その最たるものですが、高齢者に負担を強いる公的年金等控除の引き下げ、非課税措置の廃止、老年者控除の廃止など、非課税だった方が均等割が課税されるなど、これでは生きていけないというようなどれだけの高齢者がつらい思いをしているでしょうか。今行われています大増税と社会保障の改悪は、特に所得の低い人、弱者に容赦なく襲いかかるもので、税負担能力に応じた負担と生計費非課税、所得再配分という税制の原則を根本から壊すものになっています。市政運営にかかわりあることですので、これらの方向について市長として見解をお聞きいたします。
次に、本市の平成18年度予算案は、合併した後の本格的な予算であり、合併し今後市政がどんな方向になっていくのか、市民にとって大変重大な問題です。予算大綱の中には、国や地方の財政とも大変厳しい状況であると言っています。国の地方財政計画では、一般財源の総額が55兆6,334億円、204億円の増となっています。この地方一般財源の内訳は、地方税34兆9,000億円で、前年比1兆5,796億円の増、地方交付税15兆9,000億円で前年比9,906億円の減、臨時財政対策債は2兆9,000億円で前年比3,159億円の減となっています。本市の一般財源の状況は、市税が162億1,872万5,000円で前年比1億513万4,000円、0.9%の増、地方交付税は55億8,100万円で前年比9億300万円、13.9%の減、臨時財政対策債が12億7,200万円で前年比1億4,100万円、10%の減、そして地方交付税と臨時財政対策債を合わせれば13%減という状況になっています。市税の増の半分程度は個人市民税の定率減税の2分の1の圧縮分ということになり、また高齢者の税制改正による負担増が当然増の要因になっているのではないでしょうか。国は、地方交付税は減っているが、地方税がふえたから一般財源の総額は確保したと言っていますが、市民負担増が大きな要因となっています。同時に、合併前に市民が心配していた、合併により公共料金が高くなるのではないかが現実のものになっています。水道、下水道料金の引き上げ、保育料、介護保険料、国民健康保険税など、公共料金の見直し、引き上げがメジロ押しという状況です。高齢者などは、非課税から課税になることで介護保険料や国保などの負担が雪だるま式にふえてしまうのですから、たまったものではありません。ここでお聞きいたしますが、市民の家計や雇用、所得の状況から見て市民の負担増の状況が今後市民の生活にどのような影響を与えるとお考えか、お聞きいたします。また、平成18年度予算は合併後の本格的な予算であり、合併協議に基づいてさまざまな公共料金が統一されますが、合併時の約束として負担は軽く、サービスは高くということが合併するときの約束のはずでした。これがどんな理由であれ、貫かれないとしたら、合併したことに対し市民にうそをついたことになります。公共料金の引き上げやサービス低下の問題などについて市民にどう説明されるのか、お聞きいたします。
次に、歳出の問題です。予算は、市民にとって憲法に保障された人間らしく生きる権利を守ること、このことに使われなければなりません。国の来年度の地方財政計画の特徴として、財源保障について2004年度のような大幅な地方交付税の削減はないが、引き続き厳しい運営を強いるものと特徴づけています。ですから、税収増をしっかりと市民の施策の充実に使っていくこと、そして市民にとって不要な生活に密着していない公共事業、公共投資はやめていくことが肝要になってきます。(仮称)健康の駅整備事業を凍結したように、今後市民の声が強い庁舎建設などで税金のむだ遣いはやめてほしい、暮らしの方にお金を回してほしいという市民の切実な声にこたえて、今後暮らしに密着しない公共事業、公共投資をいかに精査していくお考えか、お聞きしたいというふうに思います。そして、多くの市民が望むような暮らし、福祉、介護や医療、教育、環境を最優先にする市政運営にしていくべきと考えますが、見解を求めます。
次に、地域経済と雇用の問題についてお聞きいたします。雇用対策の充実を国に求めること、市としても雇用拡大に力を入れていくべきと考えます。その一つ目といたしまして、正規雇用が減り続けるなど、現在の雇用情勢はまさに危機的な状況にあります。雇用対策の充実は、市民の暮らしと社会の安定を図る上で重要な課題になっています。大企業は、中高年へのリストラと新規採用抑制によって正社員を減らし、派遣やパート、アルバイトなど非正規雇用の置き替えを進めています。正規雇用の拡大とサービス残業をなくする問題で国に働きかけを行っていくべきと考えますが、見解を求めます。
二つ目に、公的分野の雇用拡大が求められておりますが、国は財源の増を抑える理由として、給与関係費の削減に置いています。国は、地方行政改革の方針として、自治体職員を5年間で4.6%以上の定数削減を強いていますが、職員の削減はせず、特に教育、福祉、防災などの分野で雇用拡大に取り組むことが求められているのではないでしょうか。それとあわせ、市内の企業に正規の雇用拡大を要請するなど、市として特別の手だてを講ずるべきと考えますが、見解を求めます。
三つ目に、中小企業への支援強化が求められます。この不況のもと、本市経済の主役である中小企業の倒産や廃業が相次いでいます。地域経済を立て直すための中小企業の抜本的強化が求められています。平成18年度では、中小企業融資預託事業費と緊急特別支援資金融資預託事業費が増額となっていますが、中小企業融資預託事業費だけ見ても平成16年度決算になりますが、67%の執行残という状況になっています。融資条件の緩和や営業が困難な場合の返済凍結や期間延長を認めることなど、利用しやすいものにすべきと考えます。また、不況対策として他市でも導入しているところがあり、大変効果を上げております住宅リフォーム助成制度は、中小企業建設業者の仕事興しとなり、地域経済に大きな波及効果を広げています。本市も同様の制度を実施し、中小企業の仕事確保に努めるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、少子化対策と子育て支援の充実についてお聞きいたします。乳幼児医療費制度が小学3年生まで引き上げになることに伴い、県の打ち出した一部自己負担分が本市が独自に撤廃をし、全額無料にしたことについては評価もし、また市民も大変喜んでいるところです。さらに、無料化の年齢を市独自でも引き上げて、子育て支援を強めていくべきと考えますが、見解を求めます。さらに、少子化の大きな原因として、不安定雇用の広がりと賃金の抑制などがあり、経済的な負担の増大があります。子宝条例などの充実をして経済的な支援を強めていくべきと考えますが、どうでしょうか。また、子育てにかかわる保育所や学童保育の充実など、その他の施策の充実を図っていくべきと考えますが、見解を求めます。
次に、保育料の引き上げは行わず、むしろ引き下げをして第2子からの保育料を無料にすることなど、子育て支援に力を入れていくべきと考えますが、見解を求めます。
次に、高齢者福祉の充実についてお聞きいたします。敬老祝金などの充実を行っていくこと、そして高齢者が生き生きと地域で暮らせるような移送サービスの充実や巡回バスなどが求められていると思います。見解を求めます。
次に、生活保護行政についてお聞きいたします。長引く不況や雇用情勢の悪化のもと、最後のよりどころである生活保護行政の充実が急務となっています。こうした中、政府の生活保護支給費の切り下げや老齢母子加算の廃止などは、憲法で保障された最低限度の生活を一層悪化させるものであり、撤回を求めるとともに、国庫負担を4分の3から3分の2に削減する計画に反対を表明すべきだと思いますが、市長に見解を求めたいと思います。また、適正化を口実とした人権侵害に及ぶ扶養義務や就労の強制、実態を無視した資産活用などやめるべきだと考えます。また、生活保護のしおりを窓口に置くなどして必要な人が申請できるようにしていくべきと考えますが、見解を求めたいと思います。
次に、障害者福祉の充実についてですが、障害者自立支援法導入で必要な人が必要なサービスを受けられるようにすること、そして市としても独自の負担軽減策を導入すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、子供たちの安全確保の取り組みについてお聞きいたします。今子供たちをめぐるさまざまな事件が後を絶たない状況です。子供たちをさまざまな犯罪から守っていくことは、我々大人の責任です。県の施策として、スクールガードリーダーの配置事業が充実いたしましたが、市としての子供たちの安全確保、対策をしっかりとっていくべきと考えますが、見解を求めます。
次に、森林の保護と水源保護条例の制定の必要性について見解を求めます。本市は、すぐれた森林と水資源を持っています。この森林を守っていくこと、そしてすぐれた水資源を守っていくことは一体のものです。出流原の弁天池湧水は、名水百選に選ばれ、佐野市民の宝となっています。さらに、今回の議会にも飛駒出川湧水公園の設置も提案もなされています。今後この森林の保護と水源保護条例の制定が求められていると思いますが、市長の見解を求めます。
次に、環境を守る問題についてお聞きいたします。近々リサイクルプラザ、そして新清掃センターも随時完成の方向に向かってきておりますが、町会や市民の努力によって分別回収や資源ごみの回収、生ごみのEM菌を使った堆肥化や河川の浄化のための熱心な取り組みが市民の中につくられてきております。今後ともごみ減量を引き続き行っていくことへのお考えをお聞きいたします。また、赤見地区の廃タイヤについては、民家に近い10万本の撤去が行われました。地元住民からは大変喜ばれています。引き続き廃タイヤの全面撤去を行ってほしいという切実な声を受けて、市はどのようにお考えになっているか、市長の見解を求めたいと思います。
次に、教育行政についてお聞きいたします。本市の教育予算につきましては、47億3,637万4,000円で、昨年度より4,305万1,000円、0.9%の減になっており、気になるところです。今回の議会へ市民から請願が出されてきております。その内容は、今まですべての小中学校に配置されていた用務員を削減し、センター方式にしてしまおうというもので、豊かな教育条件を実現させることから見て逆行するものですので、撤回を求めたいと思います。そして、すべての子供たちがわかり、健やかな成長をするために少人数学級が求められていると思いますが、見解を求めます。また、すべての子供たちが安心して教育が受けられるために、本市の就学援助の取り組みと考え方、必要な人に受けさせるための考え方についてお聞きいたします。
次に、公平、公正な行政についてお聞きいたします。談合を許さない入札制度の改善と特定の業者に有利な市政運営はあってはなりません。市長の見解を求めます。
次に、平和行政についてお聞きいたします。非核平和都市宣言の考え方、そして平和を守っていくための市から平和の発信をしていくことなど、平和行政の充実について市長の見解を求めます。
次に、男女共同参画の推進に向けた考え方についてお聞きいたします。岡部市長を中心とした推進本部がつくられてきておりますが、取り組み状況と条例制定、また実効あるプラン作成に向けた考え方について、またその条例案の中にあるように、市民からの苦情処理の窓口とそのシステムづくりについてお聞きいたします。
次に、本市の行財政改革についてお聞きいたします。本市の行財政改革の考え方の中に、市民サービスの低下とさまざまな負担増や公的責任の後退はあってはなりませんが、その考え方についてお聞きいたします。
次に、田中正造を市政の中に生かす考え方についてお聞きいたします。田中正造のつくり上げた功績は、平和、人権、環境問題など、市民の宝として今なお脈々と生き続けていると思います。旧佐野市ではそうであったように、市民憲章の中にその精神をしっかりと生かすべきと考えますが、その見解を求めたいと思います。そして、市民の誇りとして取り組みを強めていくことについて見解を求めます。
次に、国民健康保険についてお聞きいたします。命と健康を守るべき国民健康保険制度が大変深刻な状況になっています。全国的にも保険税の高さに払いたくても払えない状況をつくり上げてきております。全国の統計で見ますと、全世帯数2,489万7,226世帯に対し、滞納世帯数470万1,410件、この滞納世帯の割合は18.9%となっています。そして、資格者証の発行件数は31万9,326件と過去最大になっています。栃木県は、全国一高い国保税となっており、それ以上の全国よりも高い比率で滞納世帯の状況が今できてきております。命を守るべき国保制度が大変な危機に来ております。本市も今議会にさらに値上げ案が提出されてきておりますが、値上げは行わず、引き下げこそ求められていると思います。資格者証の発行が社会問題になっています。資格者証の発行は、命にかかわる問題としてやめるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、介護保険制度についてですが、国の改正により給付の引き下げ、住民負担増の方向になってきています。保険料、利用料の低所得者の軽減を行って、だれもが安心できる介護保険制度にすべきと考えますが、見解をお聞きいたします。
次に、市民病院についてお聞きいたします。佐野市の医療を公的な立場から責任を果たすためにも、市民病院の発展強化に努めることが求められていると思います。このことに対して市長の見解を求めます。
最後に、水道事業についてお聞きいたします。水道料金が平成18年度から統一料金になります。そして、基本水量を16立米から20立米にしました。基本料金については、多くの世帯で引き上げになります。今市民の状況を考えたときに、払えない人の合意のない給水停止は行うべきではありません。市長の見解を求めます。
以上、今の国や県の政治のもと、市民の命と暮らしをしっかり守る立場について、岡部市長のご決意をお聞きいたしました。私の予算大綱に対する質疑を終わります。岡部市長の誠意ある明快なご答弁をお願いいたします。
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