私には二度と読みたくない本がある。目取真俊の「目の奥の森」だ。何年も経つのに読んだ時の思いが胸の奥に突き刺さったまま離れない。
複数の米兵に暴行され精神を病んだ女の子と、一途な少年の純粋さゆえの行動これを書くに当たっても読み返すことができないので詳細はおぼろげだが、両目を失った彼が生涯にわたり憤怒と苦悩を抱えて生きなければならなかったあまりにも悲しい物語。
小説とはいえ、これに近い事件はいくつも報道されている。今も基地があり米兵のいる沖縄。無念の思いの中で暮らしいている沖縄の人達の置かれた困難な状 況を考えざるを得ない。
私にとって大切な一冊だが辛くてこの本を手に取ることすらできない。でも、読んで心を震わせて欲しいから人には勧めたい。ふと思う、権力を欲しいままにしているあの人は読書をするのだろうかと・・・ 本を読めば嘘や権力闘争ばかりの日々から、少しは人間らしい心を取り戻せるかもしれない。
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