秋田県の鳥海山の山麓に周囲が7mのブナの木がある.しかも根本から何本も幹を出している奇樹.
こんな木が森に入ると何本もあった.前知識も持たず現地入りした私たちは,異様な樹形に,どうしたらこうなるのか推理で盛り上がった.炭を焼くためにそこそこ太くなった幹を根を残して切り,その切り株から出た幹を数十年後に切り,の繰り返しではないか?と言う結論が出た頃,炭焼き釜の跡を見つけた.
石炭や石油,電気が普及する以前は炭は重要な燃料だったに違いない.その炭を求めての人々の世代をまたいだ数百年の営み.次の世代を考え,再生可能な範囲での伐採.
何世代も先へと負の遺産を残す今の原子力行政とは真逆の知恵がここに暮らしていた人々にはあった.
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